なぜイタリアは戦争に弱いのか?

一般

イタリアは陽気な国民性でありながら、実は緻密で正確な国民性を併せ持つという仮説を立てました。

イタリア人は陽気で明るく、堅実?
私はイタリアに対して、2つのイメージを持っています。一つは陽気で明るく、ノリの良いイメージ。もう一つは確実・堅実なイメージ。「陽気でノリの良い」イメージは、日本で活躍するイタリア人タレントのジローラモさんのようなイメージですね。明るく、オシ...

サッカーの世界では、イタリアは世界の強豪国の1つです。
国内リーグセリエAは世界最高峰リーグの1つ!世界のトップレベルの選手たちがプレーしています。

スポーツと戦争に関係があるわけではもちろんありませんが、緻密で正確な国民性があるのであれば、戦争でもイタリアに対して強いイメージを持っていてもおかしくはありません。
しかし、私はイタリアには戦争に弱いというイメージを持っています。

なぜ、イタリアに対してそのようなイメージを持ってしまうのでしょう。

イメージは二度の世界大戦の結果から

私はその理由を、過去の結果から来るイメージと考えました。
イタリアは、二度の世界大戦に参戦しながら、惨憺たる結果になっています(第一次は一応勝利国だが・・・)。

両大戦中、イタリアは大きな活躍ができていません。

第一次世界大戦

第一次世界大戦の開戦前、イタリアはドイツ、オーストリアと同盟を結んでいました。
しかしいざ戦争が始まると同盟国側として参戦することなく、中立に立ちました。

その後、同盟国を裏切り、フランスやイギリスの連合国側として参戦しました。
目的は、「未回収のイタリア」と呼ばれる、当時オーストリアが支配していた地域を獲得する(取り返す)ためでした。

イタリアが味方した連合国は第一次世界大戦に勝利しました。
イタリアは、戦勝国の一つとなることができました。

しかしその結果はどうしたことでしょう!
イタリア戦線で苦戦を強いられ、やっと手にした勝利の結果、参戦の目的だった「未回収のイタリア」の領有は認められませんでした。
「失われた勝利」と言われ、この大戦でイタリアは戦争で疲弊しただけで得るものもなく、国内の不満が高まっただけとなりました。

第二次世界大戦

第二次世界大戦では、イタリアは枢軸国として、ナチスドイツと共に戦いました。
快進撃を続ける同盟国ナチスドイツと比して、イタリアの戦績はひどいものとなります。

自分たちが始めた北アフリカ戦線では苦境に立たされ、ドイツ軍に助けてもらう有様となります。

北アフリカ戦線を開いたのはイタリアの独裁者ムッソリーニの決断。
当時エジプトを守る宗主国イギリスは、ドイツから本土を防衛することで手一杯、とてもエジプトに増援を送る状況ではありませんでした。
ムッソリーニはこれをチャンスとみて、エジプトへの侵攻を始めました。

ドイツは増援を申し出たそうですが、ムッソリーニは断ります。
快進撃を続けるドイツに対して焦っていたため、「ドイツには頼らない!これはドイツと肩を並べるイタリアの戦いだ」と言ったそうです。

しかし、そんなイギリス軍にさえ敗れたイタリア軍、苦境に立たされました。
結局ドイツ軍が支援することになりますが、この時ドイツ軍を指揮したのが、かの有名なエルヴィン・ロンメル将軍。
イギリスの攻勢を押し返し、ロンメル将軍は連合国から”Desert Fox”(砂漠の狐)として恐れられる存在となったのは有名な話です。

背景理解の必要性

イタリアがもし本当に緻密で堅実な正確ならもっと戦争に強くても良さそうです。

しかし、結果だけを見て短絡的に判断するのはいけません。
当時の歴史的・政治的背景を考える必要があります。

歴史的背景

まず、イタリアに統一国家ができたのが比較的遅かったという事情を考える必要があります。
イタリアに統一国家ができたのは1861年のこと。
第一次世界大戦が始まるのは1914年のことなので、建国から50年程度しか経っていなかったということになります。

統一国家ができるまでのイタリアは、ヴェネツィアやフィレンツェのような都市国家や、ナポリやサルデーニャなどの王国などに分かれていました。

「俺たちイタリア人」と考えるより、それぞれ「ヴェネツィア人」とか「フィレンツェ人」としてのアイデンティティの方がまだまだ強かったことでしょう。
そうなると、イタリア人としての一体感は相対的に低くなるところでしょう。

恐ろしい戦場に命をかけて立つのに、「祖国のため!」と思えるかどうかは、士気に大きく影響しそうです。

無理やり現在に例えるとするなら、もし現在のEUに、EU軍というのができたとして、イタリア人がイタリア軍として戦う時と同じように、EU軍として戦えるか、命を張れるかというところでしょうか。

自衛隊はあるけど日本軍はない我が日本で例えるのは難しいですが、日本より大きな枠組み、例えば「国連軍」として参加する、みたいな感じですかね?

「国連軍として命をかけて戦う」とはならなさそうかな?
どちらにしても、想像の域からでません。

政治的背景

一番大きな問題は政治の問題かもしれません。

第一次世界大戦前後、イタリアでは短命政権の繰り返しだったそうです。
政策に一貫性はなく、戦争の準備が整っていたとは思えません。

現に第一次世界大戦前、イタリアは同盟国に属しました。
ところがいざ開戦すると中立に立ちます。
その後、連合国側として参戦し、同盟国と戦うことを決定。
とても一貫性がある判断とは思えません。(詳しく調べていませんが、どうもその時その時の政権の思いつきなのでは?と思ってしまいます)

これでは、準備どうこうの話ではなさそうです。

第二次世界大戦では、独裁者ムッソリーニのファシズムがイタリアの権力を握っていました。
ムッソリーニの能力より忠誠心を重視した登用で、当時の指導者層の戦略能力が乏しいことは容易に想像できそうです。

これでは個々の兵士や将校のレベルが高くても戦争に勝てないと想像できます。
指導層の思いつきで始めてしまっては勝てそうもありません。
ナチスドイツの快進撃に焦って参戦、兵士の士気も高くなるはずもありません。

このような背景で過去の大戦で敗戦したというだけで、「イタリア=戦争に弱い国」と考えるのは短絡的な発想だと言えそうです。

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