初期に文明が誕生した場所4つを総称して「世界四大文明」などと呼ばれる。どれも大河の流域で発展したことから「四大河文明」という呼ばれ方もします。
ではなぜ、最初期の文明は大河流域で誕生したのでしょうか?
ちなみに世界四大文明と呼ばれるのは下記4つ。
- メソポタミア文明
ティグリス川とユーフラテス川の間の地域で発展。現在のイランの一部にあたる。 - エジプト文明
ナイル川流域で発展。現在のエジプト。 - インダス文明
インダス川流域で発展。現在のインド、パキスタン、アフガニスタンのあたり。 - 中国文明
黄河流域と長江流域で発展。現在の中国。
黄河文明、長江文明と大別されるので、中国文明というと総称のイメージ?
都市の発生
日本では水は潤沢にありますが、大陸では水は貴重。人は水分なしに生きていくことは不可能なので、人は水のあるところに集まってきます。大河では人口が集中、「都市」が形成されていくことになります。
都市で多くの人が生活するようになると、ルールや仕組みが必要になってきます。
文字も、人々が生活していく上で何かを記録していく必要があるため誕生したと考えられています。
「必要は発明の母」などと言われますが、基本的に人間は必要なものを作ってきました。
例えば産業革命を語る上で欠かせない「蒸気機関」ですが、このアイデア自体はすでにローマの時代にはあったそうです。神殿の扉を自動開閉させる仕組みを作り、神秘的に見せる工夫をしていたらしいのです。
しかし、その他の実生活で実践されることはありませんでした。当時は奴隷など安い労働力はいくらでもあり、そのような珍奇なアイデアを生かそうという動機(インセンティブ)がなかったからです。「蒸気機関」が労働力として取り入れられるのは、それが必要とされるようになった産業革命期まで1000年以上の時を待たなければなりませんでした。
安い労働力が開発を遅らせるという事象は現代にも通じるものがあります。
コンビニ無人化の開発が進んでいますが、労働力の不足で、コンビニの24時間営業維持が一部で難しくなっています。また自動運転車の開発も配送量増加に対するドライバー不足が深刻化して進んでいます。
開発自体にコストと時間がかかる以上、メリットがないと開発が進まないのは古代も現代も変わらないということでしょう。
都市の発展
ある程度の人口規模になると、仕事の分業化が可能となります。人が一人だと、その人が肉を食べるためには自分で狩猟か畜産し、野菜を食べるためには自分で畑を耕さなければなりません。服や靴を作ろうと思えば時間が必要以上にかかる上、完成したとしても、いまいちなものしかできないでしょう。自分一人のものを作るだけでは、十分な経験を積むこともできません。
人が大勢いれば、それぞれが得意なことを専門に生活ができます。一つのことに集中して、それを他の人と交換できるのです。
ただでさえ得意なことを専門にしている上、作業が特化されている分、それぞれの技術も更に向上していきます。全体の生産量は向上し、都市はより合理的・効率的な社会に発展します。
格差の拡大
人口が増えると、それを取りまとめるリーダーが必要になります。また、人には能力値の高い人と低い人がいます。都市生活が続いていく中で、人々の貧富の差は徐々に生まれ、拡大していくことになります。
当初まとめ役だったリーダーは、時代が下るにつれ「王」として君臨・統治していくことになります。
大河流域で文明が発展した理由
上記のような段階を経て、初期の文明は徐々に発展していきました。文明の発展には人口が密集する必要がありました。
水がないところで人々が生活していくことはできません。日本のような水が潤沢にある自然豊かな地では、人々はどこでも生活できるので、一つの場所に集まる必要性がなく、人口の密集が起きません。
こうした理由から、大陸の大河流域に位置する四大文明の場所に、人類最初期の文明が発展していったと考えられます。
大陸がもっと水が溢れる自然豊かな地であったなら文明の発展はなかったか、あるいはもっと遅れていた可能性が高いと感じます。
これを個人に当てはめて考えると面白いかなとも思います。何かが足りないことにより、限られた何かを特定のものに集中し、それが自己の成長に繋がるとか。
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