ユリウス・カエサルと織田信長について考える(その2)

歴史

ユリウス・カエサルと織田信長という人物について学んでいると、「似ているな」と感じました。
古代ローマと日本の戦国、時も場所も全く違う2人を似ていると感じるのは、その生涯のストーリーです。

彼らはそれまでの古い秩序を破壊し、改革を推し進めて新しい時代を作ろうとし、その結果、反対派に殺されます。
どんなことをしても反対する人はいますが、彼らのような急激な変革には、それだけ強く反対する者が現れるのも自然なことなのだと思います。

彼らの死後、継承者によりゆるやかな改革が推し進められますが、その点も「似ている」と言えるのではないでしょうか。

2人の生涯を振り返ってみます。
今回は日本の戦国、織田信長についてです。

織田信長

織田信長は日本の戦国時代に生まれました。
当時の日本は朝廷にも幕府にも力がなく、全国津々浦々、戦国大名たちが好き勝手に領土争いをし、戦国大名麾下の武将も主人を殺して新たな戦国大名となるような乱れた時代でした。

桶狭間の戦いで今川義元を破り、美濃の斎藤氏を滅した織田信長は、畿内で一大勢力を築くことになりました。
部下に殺された将軍・足利義輝の弟、足利義昭は、織田信長に京を奪い返し室町幕府を再興するよう頼ります。
室町幕府の再興という大義名分を手にした織田信長は足利義昭を奉じて京に攻め上り、義昭は室町幕府将軍に就任します。

信長のおかげで将軍になれた義昭ですが、実権は信長にあり、自分は名ばかりの将軍、面白くありません。
現代の会社に例えると、「せっかく社長になれたのに、取締役会は全員が副社長派、自分は名ばかり社長」みたいな感じでしょうか。

二人の関係は悪化、外部勢力と結んだ足利義昭は信長を追い落とすために兵を挙げますが敗れ、京から追放されます。実質的に室町幕府はここに滅亡しました。
(義昭は生きているので、形の上では存続しているかもしれませんが、もはや何の影響力もありませんでした)。

信長の政策

織田信長は、次々に新しいことを導入しました。
経済的には楽市楽座や関所の撤廃に見られるような規制緩和を実施し、軍事的には半士半農が当たり前の時代に兵士を専門化して季節に関係なく活動できるようにしました。

また信長は身分の別なく能力のある者を重要な役職に任じます。
農民出の下賤の者と思われている羽柴秀吉を京都の責任者にします。プライドが高く、平民を見下す京の雅な方々にとって、下賤の秀吉に指図されたり許可をもらわなくてはいけないような状況は我慢ならないことだったでしょう。

信長は宗教勢力にも容赦はありません。当時の宗教勢力は大きな勢力を持っていましたが、神仏が今では比較にならないほど信仰されていた時代、それをいいことに比叡山のような大きな寺社勢力は好き放題なことをしていたようです。
信長は陰に陽に反抗する比叡山を焼き討ち、宗教勢力も武力で制圧してしまいました。

反感・謀反とその後

信長は室町幕府を滅亡させるなど、伝統に関係なく邪魔な勢力を排除していきます。
伝統を重んじる人たちからはまさに「破壊者」に見えたでしょうし、神仏をも恐れぬその行為は「悪魔の所業」にも見えたことでしょう。

信長家臣の中でも、伝統を重んじる人たちからは不満があったことでしょう。
もともと足利義昭に仕えていた明智光秀は、伝統を重んじる一人でした。光秀は、わずかな兵力とともに本能寺に滞在していた信長を急襲し、殺害しました。

信長の死後、明智光秀は山﨑の戦いで羽柴秀吉に敗れ、敗走中に落武者狩りにあって命を落としたとされています。
その後、秀吉はライバルの柴田勝家を破り、信長の築いた織田家の勢力を引き継ぎ(乗っ取り?)、天下を統一します。
秀吉が基礎を築いた天下を、徳川家康が内戦の後に引き継ぎ、300年という長きに渡る太平の世を築きました。

カエサルと信長について

ユリウス・カエサルと織田信長、ローマと日本で全く場所は違い、時代も紀元前と16世紀で全く違う二人。
共通しているのは、世が乱れた時代、強い指導力を持ち、改革を推し進めていたこと。そしてその途上で反対勢力に殺され、死後は自分の路線を引き継いだ人たちが長きに渡る時代を築いた、ということでしょう。

何かを強力に押し進めようと思えば、強い反対が起きるものです。
元大阪府知事・大阪市長の橋下徹氏も、在任中はファンも多かったですが、強い拒否反応を起こすアンチもいました。これが角が立っていない政治家であればアンチもいないがファンもいないという状況になるでしょう。
もちろん、波風立てないのも個性です。「クセが強い人」が偉いとは全くこれっぽっちも思いませんが、世の中が乱れて改革が必要な時代には、カエサルや信長のように強引に改革を推し進める人が必要なのかもしれません。
まあそんな人は、100年に一度、必要なときに一人いれば良いので、我々凡人はこの太平日本で太平ライフを楽しみましょう。

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