建国のストーリーは、どこの国でも美化され、神話化されますね。国のルーツに関する話なので、誇大な脚色も仕方ないかもしれませんね。
古代ローマの神話も、日本のそれと同じように、どこまでが真実の話かは分かりません。しかし私は、そのような神話がすべて作り話と断定するのも違うのではないかと思います。根拠というか、土台になる話は本当なんじゃないかと思います。
ともあれ、ローマ建国神話について調べてみました。
「ローマ」の由来は建国の王の名前?
伝承によると、ローマを建国した王の名は「ロムルス」。自身の名前から国名を「ローマ」と名付けたそうです。ロムルスにはレムスという双子の弟がおり、ともにオオカミに育てられました(この辺は作り話っぽいですね)。
オオカミに育てられた2人ですが、実は高貴な生まれでした。2人の母はアルバ・ロンガの王女レア・シルウィア。アルバ・ロンガはトロイアの武将アエネアスの子孫の王国です。そんな2人がなぜ狼に育てられることになったのか。話は2人の生まれる前に遡ります。
アルバ・ロンガの内紛
2人が生まれる前、アルバ・ロンガで内紛が起こります。当時の王・ヌミトル(2人の祖父)には弟・アムリウスがいましたが、アムリウスは王位を欲し、兄王から王位を簒奪、兄を幽閉します。
新王となったアムリウスは、兄の一人娘、レアを神殿に入れ、巫女にさせました。巫女となったものは神にその身を捧げる存在、処女でなければならず、男性と契りを結ぶことはできません。このあたりの文化は東西、宗教問わず共通ですね。兄・ヌミトルの血筋を断絶させ、自らの王位を確かなものとすることが目的でした。
神殿に入れられたレアでしたが、その美貌に軍神マルスは魅せられました。神と交わったレアは双子の兄弟、ロムルスとレムスを産みました。2人は王子であり神の子でした。(こういう血筋をどうこうして権威づけするのはよくあることですね。)
兵士、狼、牧夫に助けられ、僭王を打倒
王・アムリウスにとって王位継承権を持つ2人は脅威でした。すぐに2人を殺すよう命じますが、命ぜられた兵士は2人を哀れに思い、カゴに入れて川に流しました。川に流された2人は、河畔に住む狼に拾われその乳を飲んで育てられました。その後、牧夫に助けられ、たくましく成長します。
成長し、自身の出自を知った兄弟は僭王・アムリウスを倒し、祖父に王位を戻します。
2人は自分たちの新たな王国を作るため、アルバ・ロンガを去ります。
仲違いと建国
ともにアルバ・ロンガの僭王を倒すなど仲の良かった兄弟でしたが、新しい王国をつくる中で意見が対立、最終的に弟・レムスは命を落とすことになりました。
弟亡きあと、新たな地に都市を築いたロムルスは、その都市を自らの名にちなんで「ローマ」と名付けました。
建国記念式典を盛大に催したのが紀元前753年4月21日とされ、「ローマの建国記念日」として今でもイベントなどが行われるそうです。
ちなみに日本の「建国記念の日(祝日)」(2月11日)も日本神話で神武天皇が初代天皇に即位した日です。
ロムルスを初代として7代、250年続くローマ王政。その後は共和政、帝政と形を変えて、ローマ自体は紀元後476年まで続きます(西ローマ帝国の終焉)。最後の皇帝の名はロムルス・アウグストゥルス、ロムルスで始まり、ロムルスで終わるローマの歴史となりました。
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